CaTCalc を用いて断熱燃焼温度(断熱火炎温度)を計算できます。


窒素(N2)を含む空気中における、メタン(CH4)やプロパン(C3H8)の
断熱燃焼温度は教科書(文献)によく説明されている。
たとえば、C3H8が空気過剰率 1.4 として 1atm で燃焼する場合は
1916K = 1643℃と手計算できる。手計算ではガス成分のエンタルピー
の表を利用することになる。


C3H8 の1モル当りの計算例
化学量論反応
  C3H8 + 5(O2) = 4(H2O) + 3(CO2)
窒素を含む反応
  空気過剰率 1.4
  空気中の酸素のモル分率=0.21、窒素のモル分率=0.79、(0.79/0.21)=3.76 とする

    C3H8 + 1.4*5(O2) + (0.79/0.21)*1.4*5(N2) =
               4(H2O) + 3(CO2) + (1.4 - 1)*5(O2) + (0.79/0.21)*1.4*5(N2)

 ∴ C3H8 + 7(O2) +26.32(N2) = 4(H2O) + 3(CO2) + 2(O2) + 26.32(N2)

左辺を反応物(入力原料 Feed)と呼ぶ。
右辺を生成物と呼ぶ。
CaTCalc では反応物の値を入力すればよい。
生成物の情報は指定しない。(生成物のガス種は計算により求まると考える。)
エンタルピーの表では 25℃ を基準にしているため、同様に断熱燃焼温度を
求める基準を Source Setting = 25℃ と指定する。
以上を設定後、Calculate ボタンをクリックするだけで計算が始まる。

    

    


計算結果 
    

        断熱燃焼温度は 1629℃
        ガス相の総モル数は 35.33548 モル
        H2O_ガスのモル数は 35.33548*0.1125991 = 3.98

このように生成物 (H2O), (CO2), (O2), (N2) の4つで 99.6%を占めるため
手計算とほぼ同じ結果となる。CaTCalc は主なガス種のエンタルピーの表を
標準装備している。
一方、空気過剰率を変えたり、窒素の比率を変えた環境では 2000K 以上に
なることがある。2000K 以上では熱解離の影響を含めて燃焼ガスの組成を
求めなければならない。(熱解離反応の例:CO2 -> (CO) + 1/2(O2) - △Q 
これは吸熱反応) また、H2, O2, H2O, OH, H, O, CO2, CO, N2, NO
など数多くのガス種を考慮する場合には手計算では難しくなる。そこで、
平衡計算ソフトウェアを用いることで断熱燃焼温度と生成物ガスの組成を
簡単に求めることができる。

 文献
  「工業熱力学」基礎編、(2004)、東京大学出版会

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